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なぜハラスメント行為者になってしまうのか

ハラスメントを「しよう」と思って行う人はほとんどいません。
ただ仕事をしていただけなのに、相手にはハラスメントと受け取られてしまうこともあります。
なぜそうなるのか、そして防ぐためにはどうすればよいのか、一緒に考えていきましょう。


🟩どのようなときにハラスメントが起こるのか


 基本的にハラスメントは他者になにかを要求するときに起こりやすくなります。
 とはいえ仕事において他者に何かを要求することは日常的にあります。
 ハラスメント行為を防ぐためにも「自分の考え」を改めて考えみましょう。


普通を考える 
   多くの人は、自分の考えが「普通」で、他人も同じように考えていると思いがちです。
   しかし、その「普通」は他人にとっては当たり前ではないことも多くあります。
   人は自分が普通だと思っていることほど無意識に行動に出やすいものです。
   自分にとっての「普通」とは何かを考えてみましょう。

②自分の優位性を考える
   会社では立場や役職、年齢といった様々な形で優位性が生まれます。
   「自分はまだまだ未熟だから後輩と同じ立場だ」と思ってしまうと、自分の持つ優位性に気づけ
   なくなりがちです。
   自分では未熟だと感じていても、後から入ってきた人にとっては立派な先輩です。
   自分がどのような優位性を持っているのかを考えてみましょう。   

公共性を考える
   たとえ社長であっても会社は私的な空間ではありません
   自由な言動がハラスメントにつながることもあります。
   会社は利益を追求しながら、社会や働く人々の生活をより良くするための公共的な組織です。
   自分にとっての公共性とは何か考えてみましょう。

④自分を当たり前を考える
   仕事を続ける中で「当たり前」にできることは自然と増えていきます。社内に長く勤める人が
   多いほど、「言わなくてもわかる」が通じやすくなります。
   これ自体がハラスメントにつながるわけではありませんが、新しく入った人にも同じ感覚で
   接してしまうのは要注意
です。
   忙しい日々の中では何を説明すべきか、何が当たり前でないのかが見えにくくなりがちです。
   自分にとっての「当たり前」を考えてみましょう。
   
⑤自分の正義を考える
   人は誰しも自分が正しいと思いながら生きています。そうでなければ生きづらくなるからです。
   しかし法律のような明確なルールを除けば「正しさ」は人それぞれで、一致することはほとんど
   ありません。
   自分の正義を無意識のうちに他人に押し付けていないか考えてみましょう。



5つの例をご紹介しましたが、実際には多くの人が自分では気づけないものばかりです。「自分の常識」は、他者と接することで初めて気づくことができます。
弊社では一人一人にカウンセリングを行うことで「自分の常識」に気づき、ハラスメント防止につなげる個別研修も行っています。


🟩具体的な対策

ではどうすればいいのか、具体的にみていきましょう。

あいまい言葉を使わない
   「机をきちんときれいにして」「棚をちょっと片づけておいて」「資料を早めにやっておいて」など
   あいまいな言葉が入る指示には発言者の主観が強く含まれており、受け手によって受け取り方が
   変わってしまいます。
   発言者には「こうしてほしいという正解」があり、それを具体的に伝えなければ受け手は想像
   するしかなく認識のズレが生まれます
   そしてそのズレに対して「なんでできてないんだ!」と叱責されれば、立場の上下によっては
   反論も難しくハラスメントにつながることがあります。
   相手に想像させず、具体的かつ明確に伝えることがハラスメントの防止につながります。

②自分を客観的にみる
   たとえ社長や役付きであっても、「自分はまだまだです」や「まだ下っ端ですよ」と謙遜する人
   は少なくありません
   謙遜は美徳ですが、部下や後輩に対しては、その意識がかえって妨げになることがあります。
   部下や後輩が気を使って話を合わせていることに気づかず、「自分たちは仲がいいから何を言って
   も大丈夫」と思い込んでしまうとハラスメントにつながりやすく
なります。
   だからこそ「自分は常に優位な立場から発言している」という意識を持ち、自分の主観だけで
   判断せず、第三者の意見もを取り入れて客観的に自分をみることが大切です。

③会社は公的な場所と意識する
   「会社は家族同然」「会社で働く人は仲間」といった考えの方は多くいるかと思います。
   しかし、その感覚のまま自分の考えを口にすると、ハラスメントにつながることがあります。
   以前「自分は同性愛者が嫌い。気持ち悪い。なぜそれを会社の飲み会で言ってはいけないのか。」
   という方がいました。本人に悪意はなく、その感情自体は個人の自由かもしれません。
   ただし、たとえ家庭や仲間内では許されている話題でも職場という公の場では通用しないことが
   多くあります。
   特に飲み会という公共性のある場所での発言は、周囲に強い違和感や不快感を与えます。
   どれほど親しくても、どんなに自分が正しいと思っていても、発言の内容や場面には配慮が必要
   です。

ルールや正義の違いを意識する
   法律を除けば、ルールは地域や環境、人によってさまざまです。
   誰もが自分なりのルールや価値観を持っているため「自分のルール=みんなのルール」ではない
   と気づくことがハラスメントの防止につながります。
   「朝起きられないのは甘え」「結婚できないのは変だ」といった考えは、自分の「正しさ=正義」
   の押し付けかもしれません。
   大切なのは、「自分にも正しさがあるように、相手にもその人なりの正しさがある」と認識する
   ことです。
   自分の基準だけで相手を「おかしい」「間違っている」と決めつけず、お互いのルールや価値観を
   理解し合う
ことで、より良い関係を築くことができます。そのうえで、どう対話していくかが
   大切です。

⑤自分と他人を切り分ける
   自分が正しいと思ったことを相手も正しいと思うかはわかりません。
   特に手順が決まっていない仕事では、やり方が違っても結果が同じであれば問題がないことが
   多くあります。
   その際「それは違うんじゃない」「もっとこうしたほうがいい」と言ってしまうと、相手が求めて
   いないアドバイスとなりハラスメントにつながる
おそれがあります。
   自分と違っていても、結果が出ていれば尊重する姿勢が大切です。

   また「自分で考えて行動しろ」と言いながら相手の行動を「そういうことじゃない」と否定する
   方がいますが、それは過剰な期待が原因かもしれません。
   否定をするということは「自分で考えて行動しろ」が、言われた人自身の考えではなく「指示
   した人の考えを推測して正解を導き出せ」という意味になってしまっているからです。
   そもそも人は同じ考えを持っているわけではないので、正解を導き出すことは簡単ではありま
   せん。そのため、相手は「自分で考えて行動したら怒られた」と感じることになります。
   自分と他人は違うという前提のもと、明確な指示や目標を示すことが大切です。

   他にも「あいつは遅刻ばかりしているから生活を正してやらないと」といった言葉を聞くことが
   ありますが、業務に支障があるのであれば就業規則に沿って対応すればよく、それ以上の関与は
   不要です。
   「育てないとだめだろう」とおっしゃる方もみえますが、ある年齢を過ぎれば自分を育てるのは
   本人の責任
です。
   遅刻を本人が課題だと捉えているなら、環境を見直し何らかの対応をとることが自然な流れ
   です。
   「相手のために」という言葉も、相手がそれを望んでいなければ単なる押しつけです。
   本当に相手のことを思うなら、まずはその気持ちが相手にとって必要かどうかを考えることが
   大切です。



これまで身につけてきた自分なりのコミュニケーションを変えるのは簡単ではありません。
また理想的なコミュニケーションも、知識として学ぶだけでは身につきません。
弊社では体験型のコミュニケーション研修を通じて実践的に学び、ハラスメント防止につなげて
います。