職場で注意や指摘を受けたとき、
「これってハラスメントでは?」
と感じることがあります。
もちろん、本当に不適切な言動である場合もありますし、つらいと感じたことを一人で抱え込む必要はありません。
一方で、注意されたときのショックや怒り、相手への苦手意識などによって、
実際に言われたことと、自分がそこから受け取った意味が混ざってしまうこともあります。
ハラスメントかどうかを考えるときには、まず「何があったのか」という事実と、
「自分がどう感じたのか」を分けて整理してみることが大切です。
今回は、「これってハラスメント?」と思ったときに、確認してみたいことについて考えてみます。
🟩まず、「何を言われたのか」をそのまま振り返る
注意や指摘を受けたとき、
「責められた」
「怒られた」
「嫌われている」
と感じることがあります。
けれど、まず確認したいのは、実際に相手からどんな言葉をかけられたのかということです。
例えば、
「この書類の日付が間違っているので、修正してください」
と言われたのか、
「なんで何回言ってもできないの?」
と言われたのかでは、内容が違います。
「きつく感じた」という自分の感情も大切にしながら、まずは「実際には何と言われたのか」
を思い出してみることで、起きたことを整理しやすくなります。
🟩「相手の言葉」と「自分の受け取った意味」を分ける
同じ言葉でも、受け取る側によって感じ方が違うことがあります。
例えば、
「この方法ではなく、こちらの手順でお願いします」
と言われたとします。
それに対して、
「今までのやり方を否定された」
「自分のことを信用していないんだ」
と感じることもあるかもしれません。
けれど、「こちらの手順でお願いします」という言葉と、
「自分を否定された」という受け取り方は同じものではありません。
もちろん、実際には前後の言葉や態度、これまでの経緯などによって意味が変わることもあります。
だからこそ、相手が実際に言ったことと、自分がそこから感じ取ったことを
一度分けて考えてみることが役立ちます。
🟩その場の状況も一緒に確認する
同じ言葉でも、どのような状況で言われたのかによって、受け止め方は変わります。
例えば、
「すぐに確認してください」
と言われた場合。
普段から何度も急かされている状況だったのか、
締切直前で、どうしても急いで確認する必要があったのか。
二人きりで言われたのか、大勢の前で言われたのか。
一度だけだったのか、何度も繰り返されていたのか。
こうしたことも、状況を考えるうえでは大切な情報になります。
「何を言われたか」だけではなく、「いつ、どこで、誰から、どのような状況で言われたのか」
まで振り返ってみると、出来事を客観的に整理しやすくなることがあります。
🟩「嫌だった」と「不適切だった」を分けてみる
注意されたことで、
「嫌な気持ちになった」
「腹が立った」
「恥ずかしかった」
と感じることはあります。
その気持ちは、その人にとって大切なものです。
ただ、
嫌な気持ちになったことと、その言動がハラスメントに当たることは、必ずしも同じではありません。
例えば、仕事上必要な指摘であっても、注意されれば気持ちが落ち込むことはあります。
反対に、言葉だけを見ると穏やかでも、人前で繰り返し人格を否定するような発言をされているなど、
状況を含めて考える必要がある場合もあります。
だからこそ、
「自分はどう感じたのか」と、「実際にどのような言動があったのか」を
それぞれ整理してみることが大切です。
🟩「ハラスメントかどうか」と「どう対応するか」を分ける
「これはハラスメントなのだろうか」と考えていると、どうしても白か黒かを早く決めたくなることがあります。
けれど、すぐに判断できないこともあります。
例えば、
「言い方が少し気になったけれど、ハラスメントとまでは言えない気がする」
という場合でも、
「次に同じことがあったらどうしよう」
「このまま続いたらつらい」
と感じているのであれば、誰かに相談してみることはできます。
「ハラスメントだと証明できなければ相談してはいけない」ということではありません。
「こういうことがあり、気になっています」
と、起きたことをそのまま伝えて、どう考えればよいか一緒に整理してもらう方法もあります。
🟩「自分の感じ方」を否定する必要はない
ここまで読んで、
「じゃあ、嫌だと感じても我慢しなければいけないの?」
と思う方もいるかもしれません。
もちろん、そういうことではありません。
嫌だった、怖かった、つらかったという感情は、その人自身の大切なサインです。
ただ、その感情だけで相手や出来事を決めつけてしまうのではなく、
「何があったのか」
「自分はどう感じたのか」
「どのような状況だったのか」
「仕事上、必要な指摘だったのか」
と、一つずつ分けて考えてみる。
それによって、必要な注意や指摘なのか、不適切な言動なのか、
あるいは自分一人では判断しにくいことなのかが、少し見えやすくなることがあります。
ハラスメントかどうかを考えるとき、大切なのは「感情をなくすこと」ではありません。
自分の感じたことを大切にしながらも、そこに起きた事実を重ね合わせて、
できるだけ冷静に状況を整理してみること。
そして、自分一人では判断が難しいときには、信頼できる人や相談窓口などに話してみることも一つの方法です。
誰かに話すことで、自分では気づかなかった見方に気づいたり、
起きたことを整理しやすくなったりすることもあります。
「これはハラスメントなのか」と一人で答えを出そうとするのではなく、
何があったのかを誰かと一緒に整理してみる。
それが、相手を必要以上に決めつけることも、自分のつらさを見過ごすことも避けながら、
適切な対応を考えることにつながっていくのではないでしょうか。
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